一般社団法人SUN&RICEの代表を務めております、新田綾子と申します。
SUN&RICEは、令和元年9月の台風15号をきっかけに設立されました。
その後、令和4年8月より、障害福祉サービス(居宅介護・同行援護)ならびに地域生活支援事業(移動支援事業)を行なっております。
まずは、一般社団法人SUN&RICEの全体のビジョンとこれまでについて簡単にお話させてください。
私が初めて東京から千葉県館山市に移住したのは2010年の春です。
当時シングルマザーとして東京で会社員をしていた私は、東京の食糧自給率が約1%だということ知り、自分で食べるものは自分の手で作りたい!という思いのもと、館山市に小学生の息子と二人で移住してきました。右も左もわからないまま野菜やお米作りに挑戦する私に地域の方が声をかけてくれるようになり、都会では少なくなってしまった人と人の繋がりの大切さを知りました。
そしてその頃、障害者支援の仕事に出会いました。グループホームでの世話人という仕事を通して、たとえ障害があったとしても苦手なところを少しだけ手伝ってあげれば地域で暮らせる人たちがいることを知りました。障害者支援という仕事の尊さを知ったのでした。
移住から3年が経った2013年の春、他県での障害者グループホームの立ち上げのため一旦息子と館山を離れました。その後2年半の間にグループホーム3軒と就労継続支援施設1軒の立ち上げに奔走し、その後は東京で重度入所施設、就労移行支援、高齢者のショートステイ介護、訪問ヘルパー、移動支援ガイドなど、幾つかの福祉の仕事に関わらせてもらいました。
社会福祉士の資格取得を目指して勉強していた時に「地域社会福祉」に出会いました。地域社会福祉とは、
『全ての人を排除せずに社会的に包み込み、共に生きることができる社会を目指し、地域で実践していくこと』
畑や田んぼを真ん中にして、障害の有無や性別・年齢に関らずみんなの学びの場となれるように。そして、6次化産業まで広げられたら、そんな仕組みを作ればみんながイキイキと暮らせる町になるのではないかと思います。館山にはそれができる全てが揃っていると思うのです。 館山で『農業と福祉を連携させた地域社会福祉』を実現させたいと思うようになりました。
令和元年(2019年)の3月、私は再び館山に戻ってきました。そしてその年の9月、館山市は台風15号に襲われました。何日も停電・断水が続き、現実とは思えない惨憺たる被害状況を目の当たりにし、私に何かできることはないかという思いに駆られ、復興支援を目的とした任意団体「SUN&RICE」を立ち上げました。
瓦が吹き飛んでしまった家の屋根に張るブルーシートを留めるためのストッパーを、当時勤めていたB型作業所で障害者の方たちと一緒に作って南房総市社会福祉協議会に寄付したり、その後は屋根から下ろされたブルーシートを再利用して、地域のママたちとバッグを作って販売するなどの活動をしてきました。クラウドファンディングの際には、沢山の方から沢山のご支援を頂き、本当にありがとうございました。
令和3年、知人がクリスマスイベントを行うことになり「2時間ほど自閉症の娘の見守りをしてくれないか」という依頼がありました。娘さんの障害の特性上、誰にでも頼めることではないからと、私が障害者支援の仕事をしていたことを知っての依頼でした。そしてその知人は、「お仕事としてやってくれたら今後も遠慮なく頼めるのにな」と何気なく言いました。
苦手なところを少しだけ手伝ってあげること。言葉だけに頼らないコミュニケーションができた時の嬉しさ。障害は個性だという理解。今までの私の経験を新しい形にしていけるのではないかと思いました。雷に打たれたような、進むべき道を示されたような、不思議な感覚でした。
調べてみると、安房圏域には障害者のための居宅介護事業所がなく、ニーズに対して全く足りていないことがわかりました。この出来事がきっかけで、私はSUN&RICEで障害福祉サービスを始めることを決めました。
そして、令和4年8月から居宅介護事業所を始め、追って館山市と南房総市で移動支援事業所としての契約を交わしてサービスを始めました。
令和5年5月からは、同行援護(視覚障害者の外出時のガイドや、代読代筆のお手伝い)事業も始めました。こちらも安房圏域で不足していたジャンルでした。
私の目標である『農業と福祉を連携させた地域社会福祉』の実現までには思ったより時間がかかるかもしれません。でも、自分の夢の形よりも目の前にある社会のニーズに合わせた形で柔軟に進化し続けていこうと思っています。
【ひかり】という名前は、日本の福祉の父とも言われている糸賀一雄の「この子らを世の光に」という言葉から名付けました。利用者さんが笑顔になることが、支援者の幸せであるように。利用者さんが示してくれるたくさんの愛を、感謝して受け取れる支援者でありますように。
相手の幸福が自分の幸福となる
共に成長する社会を目指します